ビスケットのある暮らし
ビスケットの起源は保存食
人類がパンを作り始めたのは、今から1万年も昔のこと。
驚いたことに、バビロニア人は小麦粉を発酵させる原理も知っていたそうです。
チグリス、ユーフラテス河一帯に栄えたバビロニア遺跡からは、小麦粉をこねてパンを作った道具や、その様子を描いた壁画が発見されています。
当時、遠くへ旅をする時には、食糧として、日持ちをよくするために、パンを乾かしてもう一度焼いたものを持って出掛けたということ。どうやら、これがビスケットの起源ではないかと思われます。
ギリシャをへてヨーロッパに広まったビスケット。探検家のコロンブスやマゼランも、長い航海にのり出す時は、大量のビスケットを積み込んだという話が残っています。
ビスケットの語源は「2度焼かれたもの」
ビスケットの語源は、ラテン語のビス・コクトゥス(bis coctus)で、その意味は、ビス(2度)・コクトゥス(焼かれたもの)です。
このビス・コクトゥスは、のちに、2度焼かれたパンという意味のラテン語のビスコクトゥス・パーニス(biscoctus panis)ともいわれるようになります。
ヨーロッパでは、古代から、航海や遠征のための食糧として、日保ちを良くするために2度焼いたパンを持参していました。当時の言葉では、食糧としてのパンと、菓子としてのビスケットとは明瞭に区別されていなくて、混用されていたようです。
現在、フランス語のビスキュイ(biscuit)もポルトガル語のビスコイト(biscoito)、オランダ語のビスクヴィー(biscuit または biskwie)もみな2度焼かれたといった意味をもっています。
ちなみに、16世紀の日本には、すでに南蛮菓子として「びすかうと」が入ってきています。そして、明治のはじめには、この直訳なのでしょうか、ビスケットに「重焼麺麭」という漢字を当てていました。